ナガノ日記

備忘録

何を見てもあの頃を思いだす


2020/06/07
『盆栽/木々の私生活』アレハンドロ・サンブラ

 

彼はダニエラが眠っている姿を見て、八歳のころの自分自身が眠っている姿を思い浮かべる。いつもそうなのだ。盲人を見れば自分が盲人になってことを思い浮かべ、いい詩を読めばそれを自分が書いているところを、あるいは誰に聞かせるわけでもなく声に出して読み、その言葉の暗い響きに元気づけられる自分の姿を思い浮かべる。
「木々の私生活」P106


僕もわが子を見ていると、その年だった幼い自分を思い浮かべてしまう。たいてい生きづらく泣いている自分だ。幼稚園に通っていた僕は毎朝登園するのがつらくて泣いていた。小学校にいる僕は何か先生に伝えなくてはならないことがあっても声をかける勇気がなくて泣いていた。中学生になった僕はいじめられる同級生を見て見ぬふりをする自分が嫌で消えてしまいたかった。

娘はそんな様子がなくて、少しだけほっとする。でも、心の中はわからない。僕は両親に自分の気持ちを伝えようと思わず何も語らなかったから。