ナガノ日記

備忘録

過去の思いでが私を支える


2020/03/10
 
そもそも僕たちは、どんな苦痛だろうと、どんな不幸だろうと、それらに価値を見いだすことができる。なぜかと言うと、それらが「一回かぎりの唯一のもの」だと考えられるからだ。すなわち、「たった一度しかない、かけがえのない人生の中で起こった不幸」という捉え方をすることによって、そこに「価値」を見いだせるというわけである。
『14歳からの哲学入門』飲茶

 

これはニーチェが指摘した人間の思考パターン。ニーチェはここから、哲学的思索により、新たな思考パターンの超人的な人間像を生み出していく。だけど、超人になれるはずもない凡人の僕はきっとこのような価値観のなかで人生を送るのだろう。

過去に苦しいことがあっても、今この瞬間に喜びを感じるならば、過去の苦しみは今の喜びのためにあると思える。今がどれほど苦しくても、未来に希望があるならば、今の苦しみも価値があると思える。

とても、人間的な生き方だ。このような思考をすることで、ほとんどの人間は苦しみを乗り越え、希望にすがって生きていた。こうして生きる人を僕は肯定したいし、きっと、僕はこれからも今後もこうした考えのなかで生きていくだろう。

 


ただ、ひとつ思いだす言葉がある。僕の好きな作家で晩年はアルコール中毒で苦しんで亡くなった方が「過去の幸せな記憶があるから、今の私は生きていけると」(要約)と書いていた。

過去の幸せな記憶が、今の自分の支えになる。未来に希望がなくとも、今生きることの支えになる過去の思いで。

20代の頃、この文章を読んだときはピンとこなかった。だけど、40代を過ぎ、未来に起きる出来事よりも、過去にあった出来事のほうが多くなってきた今では、そんなこともあるのかも知れないと思えるようになってきた