ナガノ日記

備忘録

ひとりの日記

2020/07/02

 

日記って何だろう。外は晴れている。

梅雨の晴れ間。自転車に乗って少し遠くの大きな公園に行った。しばらく本を読み、ぼんやりと空を眺め、遠回りをして家路につく。

何週間ぶりだろう、やっと一人になれた。自分だけの時間を半日だが過ごすことができる。休日に妻は仕事で夕方まで帰ってこない。娘も学校から戻るのは夕方。二人を見送ってから6時間。自分だけの時間を6時間持つことが、こんなに久しぶりなことに驚く。

机の上には妻が買ってくれた湯呑がある。えてして自分の湯呑というものは、生活に落ち着きをもたらす。自分だけの湯呑。自分だけの時間。家族と共有するものが生活だと普段は意識することもなく過ごしているのだけど、こうしてひとりの時間を持つことを喜んでいる自分に少し驚く。

こうして僕がひとりでいる時こそ、自分の湯呑が自分だけのものだと実感する。隣には妻と娘の湯呑がある。並んでいるけれど、それぞれ違うもの。僕の湯呑にだけ冷たいジャスミンティーが満たされている。

 

思うに、日記を書くという行為も極めて個人的なものだ。もう長いこと、僕は誰かといることで、他人を意識をしすぎ、僕ひとりのために言葉を費やしてこなかった。

僕は自分の考えていること、自分がどこにいるかを見い出すために何かをしてきただろうか。他者とのぶつかりを避けるあまり、さまざまな感情をのみ込んできた。こうして平穏な日常を得ることができたと思えば、それが間違っていたとは思わない。ただ、もう少し欲をだして、自分だけが納得する世界を持ってもよいのではないだろうか。

 

そのためには自分の時間と自分の言葉が必要だ。生を深々と味わうために、僕は日記を書く。